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パラダイムシフト [専門用語]

そもそも、このブログを立てようと思ったキッカケは随分前、2/4のFridayKohmi(広瀬香美氏のUstearm放送)にある。この回の特集は「facebook」だった。

詳しくは録画を見てもらうとして、おおよそ次のようなやり取りがあった。
まず、facebookを広めるためにやってきたゲストの仲暁子氏が使った「パラダイム」と言う言葉に「パラダイムってな〜に?」と香美さんが食いつたのだが、仲さんは上手く説明しきれなかった。それに対して勝間和代氏が「世間一般に広く浸透している常識や固定概念」がどうのと優等生的な補足をした。それでも香美さんは今一納得してなさそうだったけど、その場はそれで終わった。

そうしたやり取りを聞いて、こっちもなんとなく分かった気になっていたのだが、それから程無くして自社の資料用に専門用語集を作ることになり、改めて「パラダイムとは何か?」について調べることになった。が、調べただけではわかりやすい解説は出てこなかったので、結局は自分で説明を考えることになる。調べるだけならともかく、考察までしておいて、ほとんど誰も読まない自社文書の片隅に書くだけでは、何とも、もったいない話だ。せっかくだからwebで公開しよう。...ということで、長文を発表すべく、このブログを開設することにした。「FridayKohmi」での御三方のやり取りがなければ、多分この記事はどこにも公表しなかっただろう。彼女らが読んでくれるかどうかは知らないが、とりあえず感謝の意を表する。

さて、長過ぎる前置きが終わったところで、いきなり結論から言おう。
「パラダイムシフト」という表現を使って「パラダイムって何?」と聞かれたら「パラダイムシフトで一つの用語だから、分けちゃダメ」と答えよう。もし自分が「パラダイム」と単体で使って、突っ込まれたら、まずは「お手本のこと」と本来の意味で答えよう。

そもそも今時「パラダイムって何?」と聞いてくる人はITやビジネス用語に疎い人たちである。(ゴメンなさい)そうした人たちに「世間一般に広く浸透している常識や固定概念」と説明しても腑に落ちるわけが無いのだ。(重ねてゴメンなさい)こうした相手には自分がお手本としてきたものが、いきなり「マチガイでした。こっちが新しいお手本です。」と言われた時のことを想像してもらおう。それが歴史的一大事として起った時に「パラダイムシフト」という学術用語を使うのである。

さて、ここに至る過程だが
調べる、と言っても今の時代、ググれば大抵のことは分かってしまう。実際、ウィキペディア等で詳しい解説がなされており、それによるとパラダイムというのは元は「模範」とか「代表例」という意味らしい。これは辞書にも載っている。それがなぜ「世間一般に広く浸透している常識や固定概念」という大仰な意味になるのか?その歴史的な流れについては、ここでは面倒なので書かない。だから自分でググってみてほしい。ウィキペディアには何が原典かまでバッチリ書いてある。

それらを読んで私が感じたのは「定番とパラダイムの違いは何だろう?」という疑問だった。
じつはビジネス系の文脈で「パラダイム」という言葉が使われている時は「定番=スタンダード」という言葉で置換えられることが多い。置換えられるというより「スタンダード」という表現の方がしっくり来るのに、新しい専門用語を使いたいがために「パラダイム」と言っているケースも多いのではないだろうか?
まあ、新しい用語をカッコいいと思って、つい使いたくなる気持ちは分かる。だけど誤った使い方をすれば結局後々恥をかくのは自分である。「若気の至り」という言い訳をとっくに使えない身としては両者の区別は気になるところだ。

さて、「定番」と「パラダイム」いや、ここは「お手本」と言換えておこう。両者に共通するものは何だろう?どちらも人から注目されており、人々に影響を与える力を持っていて、その力で元の混沌とした状態から一歩抜け出すことができる。ちがうのは伝わり方だ。定番はどんなに広まっても元が分かるが、お手本は広がるにつれて大本が分かりづらくなる。お手本はそれをお手本とした人たちが新たなお手本になるからだ。定番はそのまま使われるが、お手本は習得したり複製されたりしながら利用される。そしてお手本は何時しか本人の一部になる。

どちらも社会の変化や科学技術の進歩に伴って変化するが、変化による影響が予想外に大きくなるのはお手本の方である。第二次世界大戦直後の日本など、お手本が変わる事により社会全体が変わった例はたくさんある。お手本は吸収し終わると、その存在を忘れがちなので、変わった時の心理的衝撃も大きい。

定番が変わる時ですら、大きな変化にはパラダイムシフトが付き物である。例えばデジタルカメラは今日ではすっかりデジタル家電の定番だが、これが普及することでアルバム作りの手順が大きく変わってしまい、現像関連の仕事を中心に大きなパラダイムシフトが発生した。それまではフイルムや印画紙メーカの方を向いていた写真の小売店はプリンターメーカの方を向かざるをえなくなったのだ。

パラダイムシフトというのは、こうしたお手本が変わる事に伴う構造変化を指す専門用語である。パラダイムを「ある時代や特定分野において、世間一般に広く浸透している常識や固定概念」と拡大解釈するのもここから来ている。ただし(ここからが重要!!)「パラダイムシフト」自身が象徴的な言葉であって、現象を説明した言葉ではない。だから、そこから一部を取り出して単語の意味を定義しようとすると、かえって焦点がぼやけて、意味が分かりにくくなってしまう。それに、もとの「お手本」で十分に意味が通じるのだから、わざわざ専門用語化する必要もないだろう。....まあ、既に時おそし。パラダイムも専門用語化しちゃってる。だから、どうしても専門用語としてのパラダイムについて説明する必要があれば、私なら「お手本が新たなお手本を作り、それが連鎖して巨大な共通意識が出来上っている様子」と説明する。

「パラダイムシフト」についての解説は以上である。そうそう、facebookは定番だけど、お手本の連鎖も起きている。そういう意味ではfacebookを「新たなパラダイム」と言っても間違いではない。でも私なら「新たなスタンダード」と表現する。そのほうが競っている現状に合っているから。

それから、誰も気にしていないと思うが、うちも一応パラダイムシフトを狙っている会社である。(だから専門用語集に入れる必要があった。)一企業としての力は無きに等しいが、そのうち何らかの形でパラダイムシフトに関わるつもりでいる。....それが何かは、いずれ、このブログで.....。
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